スタンドアップでチームの「知らない」をなくすには?相互理解を深める共有と聴き方
チームのスタンドアップを運営されている中で、「メンバー同士がお互いの状況をあまり知らないようだ」「タスク報告はしているけれど、それ以上の繋がりがない」と感じることはありませんか?
スタンドアップは単なる進捗報告の場ではなく、チームメンバーが互いを理解し、より良い連携を築くための貴重な機会です。特に、チームメンバーが各自の役割や状況についてより深く理解し合う「相互理解」は、チーム全体の生産性や課題解決能力に大きく影響します。
この記事では、スタンドアップを通じてチームの相互理解を深めるために、リーダーがどのように共有を促し、またメンバーの聴く姿勢を育むことができるのか、具体的な方法をご紹介します。
なぜスタンドアップで相互理解が重要なのか
チームの相互理解が不足していると、様々な問題が生じやすくなります。例えば、
- 他のメンバーが何に困っているかが見えにくく、助け合う機会を逃す。
- 自分のタスクが他のメンバーの仕事にどう影響するかが理解できず、連携が遅れる。
- お互いの専門性や得意なことが分からず、適切な相談相手を見つけにくい。
- チーム全体として何を目指しているのか、共通認識が希薄になる。
逆に、相互理解が進むと、メンバーは安心して質問や相談ができ、自然とサポートし合える関係性が育まれます。これは、チームの心理的な安全性にも繋がり、結果として課題の早期発見や迅速な解決、そしてチーム全体の士気向上に貢献するのです。
相互理解を深めるための「共有の仕方」の工夫
スタンドアップでの共有は、単に「何をやったか」「次は何をやるか」を報告するだけに留まらないように意識することが大切です。リーダーとして、メンバーがより豊かで価値のある共有をできるように促しましょう。
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タスクの「背景」や「目的」を共有する 「このタスクは、なぜ今必要なのか」「これが完了すると、チームや顧客にとってどんな良いことがあるのか」といった背景や目的を付け加えることで、他のメンバーはそのタスクの重要性や自分の仕事との関連性を理解しやすくなります。
- 促し方のヒント: 「このタスクの背景や、完了するとどんなメリットがあるか、少し補足してもらえますか?」と問いかけてみる。
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直面している「難しさ」や「学び」を共有する スムーズに進んでいることだけでなく、「ここで少し詰まっています」「〜という新しい発見がありました」といった、プロセスの中で感じた難しさや学びを共有する機会を設けます。これは、他のメンバーが同様の問題に直面した際の参考になるだけでなく、助け合いのきっかけにもなります。
- 促し方のヒント: 「何か今日、新しく学んだことや、難しさを感じている点はありますか?」と問いかけてみる。
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他のメンバーの業務との「関連性」に触れる 自分のタスクが他の誰かのタスクに依存していたり、影響を与えたりする場合、その関連性について意識的に言及することを促します。「〇〇さんの作業が終わったら、次にこの部分を進められます」「私のこの変更は、△△さんの担当箇所に影響するかもしれません」といった共有は、チーム全体の流れを把握する上で非常に役立ちます。
- 促し方のヒント: 「今話してくれたことは、チームの他の誰かの作業と関連はありますか? もしあれば、少し教えていただけますか?」と促す。
相互理解を深めるための「聴き方」の工夫
スタンドアップは「話す人」だけでなく「聴く人」も重要です。メンバーが他の人の話をしっかりと聴き、内容を理解しようとする姿勢を育むことも、リーダーの大切な役割です。
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アクティブリスニングを奨励する 話している人に対して、相槌を打ったり、頷いたりといった非言語的なサインや、「〜ということですね」と簡単な確認を促すことで、話しては「聴いてもらえている」と感じ、安心して話すことができます。また、聴き手も集中力が高まります。
- 奨励のヒント: リーダー自身が実践して見本を示す。また、話が終わった後に「誰か、今の〇〇さんの話について、何か簡単な確認や質問はありますか?」と問いかけてみる。
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興味を持った点や関連性について質問する機会を設ける 他のメンバーの話を聞いて、「それは面白そうですね」「私の担当箇所と関係があるかもしれません」と感じたときに、一言で良いので反応したり質問したりする文化を育みます。これにより、スタンドアップからさらに踏み込んだ対話や相談に繋がる可能性があります。
- 機会創出のヒント: 全員の共有が終わった後、「何か、他のメンバーの共有で気になったことや、もう少し聞きたいことはありますか?」と問いかける時間を作る。
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リーダー自身が積極的に質問する リーダーが率先してメンバーの共有内容について質問することで、他のメンバーも質問しやすくなります。「それは具体的にどういう状況ですか?」「その発見は、今後の作業にどう活かせそうですか?」といった質問は、共有したメンバー自身の思考を深めることにも繋がります。
スタンドアップの形式でできる工夫
形式的なアジェンダに加えて、相互理解を促すための項目を短時間で取り入れることも効果的です。
- 「今日のプチ発見・学び」の共有: 毎日、短く「今日(昨日)発見したこと、学んだこと、試してみたいこと」を一人一言共有する時間を作ります。これは技術的なことから業務効率化のヒント、果ては個人の興味まで、幅広い内容を共有するきっかけになります。
- 「チームで共有したい情報」の項目: プロジェクト外で得た有益な情報や、チーム全体に知っておいてほしいことなどを短く共有する時間を設けます。
まとめ
スタンドアップでチームの「知らない」をなくし、相互理解を深めることは、チームの連携を強化し、潜在的な課題を見つけやすくするために非常に重要です。
リーダーは、メンバーが単なる進捗報告に留まらない、より豊かな情報(背景、難しさ、学び、関連性など)を共有できるよう促すこと、そしてメンバー同士がお互いの話をしっかりと聴き、必要に応じて反応し合えるような環境を作ることが求められます。
これらの工夫は、すぐに劇的な変化をもたらすものではないかもしれません。しかし、日々のスタンドアップで意識し、継続的に実践することで、チーム内の信頼関係が深まり、お互いを「知らない」ことから生じる壁を少しずつ取り払っていくことができるでしょう。ぜひ、あなたのチームで試してみてください。