初めてでも大丈夫!スタンドアップを円滑に進めるファシリテーションの基本
スタンドアップの成功はファシリテーションにかかっている
スタンドアップミーティングは、チームの状況を素早く共有し、連携を深めるための重要な時間です。しかし、漫然と行うだけではその効果は半減してしまいます。特に、スタンドアップの運営に慣れていない場合、時間が長くなったり、特定のメンバーだけが話したり、逆に誰も積極的に話さなかったりといった課題に直面することもあるでしょう。
このような課題を解決し、スタンドアップをチームにとって本当に有益な時間にするために不可欠なのが、「ファシリテーション」です。ファシリテーターは、会議の進行役として、全員がスムーズに情報共有できるよう場を整え、チームのコミュニケーションと生産性向上をサポートする役割を担います。
この記事では、これからスタンドアップのファシリテーションを担当する方や、ファシリテーションに不安を感じている方を対象に、スタンドアップを円滑に進めるための基本的な役割と実践的なコツをご紹介します。
スタンドアップファシリテーターの基本的な役割
スタンドアップにおけるファシリテーターの主な役割は多岐にわたりますが、初心者が特に意識すべき基本は以下の点です。
- 目的の維持: スタンドアップの目的(進捗共有、課題や障害の特定など)から逸脱しないよう、常に意識を向けます。
- 時間管理: 会議を定められた短い時間内に開始し、終了させます。
- 円滑な進行: 全員が順番に、または自然な流れで話せるように促します。特定の人が話しすぎることを防ぎ、話すのが苦手な人にも配慮します。
- 話題の脱線の防止: 共有とは関係ない雑談や、深掘りすべきではない議論が始まるのを防ぎます。
- 課題・障害の特定と記録: 共有の中で出てきた課題や、作業を妨げている障害を正確に聞き取り、必要に応じて記録します。
これらの役割を果たすことで、スタンドアップは単なる報告会ではなく、チームの自律的な活動を支える基盤となります。
スタンドアップを円滑に進める具体的なコツ
ファシリテーションの基本を押さえた上で、さらにスタンドアップをスムーズにするための具体的な声かけや振る舞いについて解説します。
開始時の声かけと準備
スタンドアップは定刻通りに始めることが重要です。開始時には、簡単な挨拶と共に、今日のスタンドアップで共有すること(通常は「昨日やったこと」「今日やること」「抱えている課題・障害」など)を改めて確認すると、全員が同じ認識で臨めます。
- 例:「皆さん、おはようございます。時間になりましたので、スタンドアップを始めましょう。いつものように、昨日やったこと、今日やること、そして何か困っていることや障害があれば共有してください。」
進行中のファシリテーション
一人ひとりの共有時間は限られています。円滑な進行のためには、メンバーの発言を注意深く聞きつつ、次の人へ自然にパスする意識が大切です。
- 例:「ありがとうございます。〇〇さんの状況、よく分かりました。次に、□□さん、今日の状況はいかがですか?」
もし、共有中にチーム全体で議論すべきではない、特定の個人や少人数で解決すべき話題が出た場合は、その場で深掘りしないように促します。
- 例:「その件は皆さんにとって有益な情報ですね。ただ、今日は時間も限られていますので、この場で全てを議論するより、スタンドアップの後で関係者の方と別途お話しする時間を設けるのはいかがでしょうか?」
- 例:「良い点に気づきましたね。それは今日のスタンドアップの目的から少し外れますので、一度課題として記録しておき、後で皆さんと相談してどう進めるか決めましょう。」
共有の中で、誰かの課題や障害について「それ、どういうこと?」「〇〇したら?」のような対話やアドバイスが始まることもあります。スタンドアップの目的が「共有」に留まる場合は、これも適切なタイミングで切り上げる必要があります。
- 例:「△△さん、◇◇さん、ありがとうございます。具体的なアドバイスは後ほどゆっくり話す時間を設けましょうか。まずは皆さんの共有を済ませてしまいましょう。」
終了時の声かけと確認
全員の共有が終わったら、必ず時間内に終了します。共有された課題や障害について、チームとしてどう対応するか、誰が何をするのかを簡単に確認すると、スタンドアップが単なる報告で終わらず、次のアクションにつながります。
- 例:「皆さん、共有ありがとうございました。今日のスタンドアップで出た課題は、〜と〜ですね。これらの課題について、スタンドアップ後に〜さんが◇◇さんに相談する、といった対応を進めていきましょう。何か他に確認したいことはありますか?なければ、今日のスタンドアップはこれで終了とします。皆さん、本日もよろしくお願いします。」
初心者が陥りやすい落とし穴とその対策
初めてファシリテーションをする際に、多くの人が経験するであろう課題と、それに対する対策を知っておくことも役立ちます。
- 自分で話しすぎてしまう: ファシリテーターはあくまで進行役です。自分の状況共有は簡潔にし、他のメンバーの発言を促すことに注力しましょう。
- 時間がオーバーする: スタンドアップは最大でも15分程度に収めるのが一般的です。時間管理のためにアラームをセットしたり、一人あたりの持ち時間を意識させる声かけをしたりする練習をします。
- 議論を止めるのが難しい: 議論が始まった際に、「この件は後ほど」「別途時間を取って」と切り出すための決まり文句をいくつか用意しておくと、スムーズに対応できます。
まとめ
スタンドアップのファシリテーションは、最初から完璧にこなす必要はありません。まずは基本的な役割を理解し、この記事でご紹介したような具体的な声かけや時間の管理を意識するところから始めてみてください。
ファシリテーションは、練習と経験を重ねることで必ず上達します。チームメンバーと協力しながら、より効果的なスタンドアップの形を一緒に見つけていくプロセスそのものが、チームのコミュニケーションを豊かにすることにもつながります。
スタンドアップを通じて、チームのコミュニケーションと生産性をさらに向上させていきましょう。