初めてのリーダーでも大丈夫!チーム力を高めるスタンドアップのアジェンダの作り方
スタンドアップは、チームの状況を素早く共有し、連携を強化するための重要な日次のミーティングです。特にスタンドアップの運営を初めて担当するプロジェクトリーダーの方にとって、「何を話すべきか」「どういう流れで進めるのが良いか」といったアジェンダの準備は不安に感じられるかもしれません。
この記事では、チームのコミュニケーションと生産性を高めるための、効果的なスタンドアップのアジェンダの作り方について解説します。基本的な考え方から具体的な構成例までをご紹介しますので、ぜひ日々のスタンドアップ運営にお役立てください。
スタンドアップのアジェンダはなぜ重要なのか?
スタンドアップの目的は、ご存知の通り「チームメンバーがそれぞれの進捗、今日の予定、そして課題(ブロッカー)を共有し、チーム全体で状況を同期する」ことです。短い時間でこれを効率的に行うためには、あらかじめ話すべき内容、つまりアジェンダを決めておくことが非常に有効です。
アジェンダが明確でないスタンドアップでは、以下のような課題が発生しやすくなります。
- 話が脱線し、時間が超過してしまう。
- 共有内容に偏りが出たり、重要な情報が漏れたりする。
- 参加者が次に何を話すか迷い、発言しにくくなる。
- ミーティングの目的が曖昧になり、形骸化してしまう。
明確なアジェンダを設定することで、これらの課題を防ぎ、短時間でチーム全体の状況を把握し、必要なアクションに繋げやすくなります。これは、特に経験の浅いリーダーにとって、スムーズな進行を助け、自信を持ってファシリテーションを行うための土台となります。
効果的なアジェンダを作るための基本ステップ
スタンドアップのアジェンダ作成は、以下の基本的なステップで進めることができます。
- スタンドアップの目的を再確認する: チームとしてスタンドアップから何を得たいのか、チームの現状の課題は何かを考えます。例えば、タスクの遅延が多いチームであれば、課題(ブロッカー)の共有と解決への糸口を見つけることに重点を置く、などです。
- 含めるべき要素を洗い出す: 一般的にスタンドアップで共有される「昨日やったこと」「今日やること」「課題(ブロッカー)」といった要素に加え、チーム特有の共有事項(例:他チームとの連携状況、特定の期日に関するリマインダー)があるかを検討します。
- 理想的な流れを考える: 洗い出した要素をどのような順序で話すのが最も効率的か、チームメンバーが話しやすいかを考慮します。
- 各要素にかけられる時間の目安を設定する: 全体で確保している時間(例:15分)を考慮し、各項目にどれくらいの時間をかけるか目安を設けます。ただし、これは厳密なルールではなく、あくまでガイドラインとして考えておきます。
スタンドアップのアジェンダ構成例
スタンドアップのアジェンダとして最も一般的で効果的な構成は、参加者一人ひとりが以下の3つの観点について共有する形式です。
- 昨日やったこと(Was): 前回のスタンドアップ以降で完了したこと、進捗があったこと。
- 何に取り組み、それがどの状態にあるかを簡潔に共有します。
- 目標達成に向けて貢献した内容に焦点を当てると良いでしょう。
- 今日やること(Will): 次のスタンドアップまでに取り組む予定のこと。
- 今日何に集中するのか、具体的に共有します。
- チームの目標達成にどう繋がるかを意識すると、共有の質が高まります。
- 課題・ブロッカー(Blockers): 目標達成を妨げているもの、助けが必要なこと。
- 作業を阻害している要因(情報不足、他チームとの連携待ち、技術的な問題など)を明確に伝えます。
- チームメンバーやリーダーのサポートが必要な場合は、ここで発信します。
この3つの観点を参加者が順番に共有することで、チーム全体の状況が把握しやすくなります。
さらに、この基本構成に加えて、必要に応じて以下の要素をアジェンダに含めることも検討できます。
- チーム全体への重要なアナウンス: 全員に周知したい情報(例:会議室の変更、新しいツールの導入)をスタンドアップの冒頭や最後に伝えます。
- 簡単なチーム状況の確認: 例:プロジェクトの進捗ボード(カンバンなど)を briefly に確認する時間を含める。
- 次のアクション確認(オプション): ブロッカーが出た場合など、スタンドアップ後に誰が何をするかを簡単に確認する。
アジェンダテンプレートの活用
初めてアジェンダを作る場合や、チームで共通認識を持ちたい場合は、簡単なテンプレートを用意すると便利です。ホワイトボードや共有ドキュメントに以下の項目を記載しておき、メンバーがそれに沿って話すように促します。
今日のスタンドアップアジェンダ
1. チーム全体アナウンス (必要な場合)
2. 各メンバーの共有 (順番に):
- 昨日やったこと:
- 今日やること:
- 課題・ブロッカー:
3. 簡単なチーム状況確認 (必要な場合)
4. 次のアクション確認 (課題が出た場合)
このようなテンプレートは、特にスタンドアップに慣れていないチームにとって、話すべき内容を明確にし、スムーズな進行を助けるガイドラインとなります。
アジェンダ運用上の注意点
アジェンダを設定しても、それが硬直的なルールになりすぎないように注意が必要です。
- 柔軟性を持つ: アジェンダはあくまでスムーズな進行のための「道しるべ」です。予期せぬ重要な共有や、緊急度の高いブロッカーが出た場合は、柔軟に対応しましょう。
- 定期的な見直し: チームの状況や課題は常に変化します。設定したアジェンダが今のチームに合っているか、定期的に見直し、必要であれば調整しましょう。
- アジェンダ外の詳細な議論は避ける: スタンドアップ中に詳細な技術的な議論や問題解決を行うのは避け、必要であれば別途時間を設けるように促します。
まとめ
スタンドアップの効果を最大限に引き出すためには、目的を明確にした上で、適切なアジェンダを設定することが非常に重要です。特にスタンドアップの運営経験が浅いリーダーの方は、今回ご紹介した基本的なアジェンダ構成や作成ステップを参考に、まずは簡単なテンプレートから試してみてはいかがでしょうか。
明確なアジェンダは、チームメンバーが安心して発言できる環境を作り、短時間での効率的な情報共有を可能にします。アジェンダをチームとともに育てていくことで、きっとスタンドアップはチームのコミュニケーションと生産性を高める力強い習慣となるでしょう。